建設バイトの日給は、職種・現場・経験・雇用形態によって求人ごとに違い、当サイトで一律の相場をお示しすることはできません。そこで、公的な数字として参考になる国土交通省の「公共工事設計労務単価」(職種別・都道府県別の日額)を、令和8年3月適用分で紹介します。ただしこれはアルバイトの日給や手取りとは別のものです。この記事では、数字の意味、日払いと休業手当のルール、手取りを考えるときの控除の見方を整理します。
公共工事設計労務単価とは
公共工事設計労務単価は、国が公共工事の工事費を見積もる(積算する)ために、建設の技能者の賃金の支払い実態を調べて決める日額です。令和7年度の調査では、47都道府県・51職種について単価が決められ、令和8年3月から適用されています。(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)
国土交通省の資料では、定義が次のように示されています。(出典:同・報道発表資料PDF)
- 所定労働時間内の8時間当たりの単価で、基本給相当額、基準内手当、臨時の給与(賞与など)、実物給与(食事の支給など)で構成されます。
- 時間外・休日・深夜の割増賃金は含まれません。
- 法定福利費(事業主負担分)や研修訓練費などの現場管理費、一般管理費といった会社の経費は含まれません。
職種別・都道府県別の単価(令和8年3月適用)
代表的な職種について、全国の加重平均と、東京都・愛知県・大阪府・福岡県の単価を並べます。単位は円(1日=所定労働時間内8時間当たり)です。
| 職種 | 全国(加重平均) | 東京都 | 愛知県 | 大阪府 | 福岡県 |
|---|---|---|---|---|---|
| 軽作業員 | 18,605 | 18,700 | 19,400 | 16,500 | 16,900 |
| 普通作業員 | 23,605 | 27,000 | 25,200 | 23,800 | 24,100 |
| 特殊作業員 | 28,111 | 30,700 | 29,800 | 27,800 | 29,000 |
| とび工 | 30,780 | 33,100 | 32,400 | 29,600 | 29,900 |
| 鉄筋工 | 31,267 | 33,800 | 31,000 | 29,000 | 29,900 |
| 型わく工 | 31,671 | 33,000 | 34,400 | 33,400 | 28,200 |
| 大工 | 30,331 | 30,600 | 34,000 | 29,300 | 29,200 |
| 左官 | 30,508 | 33,800 | 31,100 | 30,100 | 29,000 |
| 交通誘導警備員A | 18,911 | 20,500 | 22,400 | 18,200 | 18,200 |
| 交通誘導警備員B | 16,749 | 18,700 | 17,800 | 15,900 | 16,300 |
(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」。全国欄は各職種の全国加重平均値です。)
職種の定義も国土交通省の資料に載っています。たとえば「軽作業員」は軽易な清掃・後片付け・現場内の小運搬などを主に人力で行う職種、「普通作業員」は人力による土砂等の掘削・資材の積込み・運搬・片付けなどを行う職種です。都道府県で差があり、職種によって東京が最も高いとは限りません。
この数字を「バイトの日給」として読めない理由
- 調べているのは、公共事業に従事した建設技能者の賃金台帳です。アルバイトや日雇いの求人の日給ではありません。
- 賞与など臨時の給与も含めて8時間分に換算した額なので、「1日働いて受け取る額」と同じではありません。
- 国の資料では、事業主が負担すべき経費(法定福利費の事業主負担分など)は含まれないと説明されています。また、賃金台帳に基づく賃金の水準を示す数字で、税金や保険料が引かれた後の手取りの額ではありません。
実際の日給は、求人ごとに違います。応募する前に、日給の額、実働時間(何時間働いての日給か)、交通費の支給、割増賃金の扱いを求人票と労働条件の通知書で確認してください。賃金や労働時間などの労働条件は、使用者が契約時に明示しなければならないと労働基準法で定められています。(出典:労働基準法 第15条(e-Gov法令検索))
月収の考え方
日給制では、月収=日給×出勤日数です。計算例として、日給が1万円で20日出勤すれば20万円になります(相場ではなく、計算の仕組みを示す例です)。屋外の現場は天候や工程で休みになることがあるため、出勤日数は月によって変わります。応募前に、1か月にどれくらい仕事があるのかを確認しておくと、収入の見通しが立てやすくなります。
手取りを考えるときの控除
額面(支給額)から引かれるものは、働き方で変わります。
- 所得税(源泉徴収):2か月以内の雇用期間を定めた日雇いなどでは、国税庁の税額表の「日額表の丙欄」を使います。契約が延長されて2か月を超えた時点からは、丙欄は使えません。(出典:国税庁 No.2514 パートやアルバイトの源泉徴収)
- 雇用保険料:令和8年度の労働者負担は、一般の事業が1000分の5、建設の事業が1000分の6です。日給が1万円なら、建設の事業で60円の計算です。(出典:山形労働局「令和8年度の雇用保険料率について」)
- 社会保険(健康保険・厚生年金):加入するかどうかは勤務条件で決まります。控除の有無と金額は、労働条件の通知書や給与明細で確認してください。
雇用契約で働くのか、請負や業務委託の形なのかでも、労災・休業手当・社会保険の扱いは変わり得ます。契約書の内容を確認し、不明な点は先に質問しましょう。
日払いの仕組みと注意点
労働基準法では、賃金は「毎月1回以上、一定の期日を定めて」支払うことが原則です。(出典:労働基準法 第24条(e-Gov法令検索))日払いは法律で決まった制度ではなく、会社が決める支払い方法です。そのため、「日払い」と書かれていても、受け取る日は当日・翌日・数日後など会社によって違います。
- 受け取りが当日か翌日か、現金か振込か、求人票と通知書で確認します。
- 日払いサービスや前払いの仕組みを使う場合は、手数料がかかるか確認します。
- 給与の振込は、労働者の同意が必要です。(労働基準法施行規則 第7条の2)
- 出産・病気・災害などの費用が必要で請求したときは、支払期日前でも、すでに働いた分の賃金を支払う義務があります(非常時払。労働基準法 第25条)。
雨の日の休みと休業手当
会社の都合で休みになったとき、使用者の責に帰すべき事由による休業なら、使用者は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。(出典:労働基準法 第26条)一方、天災事変などの不可抗力による休業は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手当の支払い義務が生じないとされています。(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)
つまり、「雨の日は一律に60%もらえる」「雨の日は一切もらえない」と決まっているわけではありません。雨や工程の遅れで休みになった理由が会社の責任か、不可抗力かで判断が分かれます。雇用契約を結んでいるか、その日の仕事が決まっていたか(契約が成立していたか)によっても扱いが変わり得ます。個別のケースは、最寄りの労働基準監督署に確認してください。
建設バイトで役立つ資格と注意点
資格があると日給が必ず上がるとは言えません。手当や単価の扱いは会社次第です。ここでは、法令で確認できる資格の位置づけを整理します。
| 資格・教育 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 玉掛け | つり上げ荷重1トン以上のクレーンなどの玉掛けの業務には、技能講習の修了が必要です(労働安全衛生法施行令 第20条第16号)。1トン未満は特別教育で足ります(労働安全衛生規則 第36条第19号)。 |
| 移動式クレーンの運転 | つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンの運転は、資格が必要な業務です(令第20条第7号)。1トン未満は特別教育が必要です(規則 第36条第16号)。 |
| フォークリフト | 最大荷重1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育です。日数や区分はフォークリフトの資格と免許の違いを参照してください。 |
| 足場の組立て・解体・変更 | 作業に従事する人には特別教育が必要です(地上や堅固な床上の補助作業を除く。規則 第36条第39号)。 |
| 足場の組立て等作業主任者 | 技能講習の受講資格に、足場の組立て・解体・変更の作業に3年以上従事した経験などが必要です(学歴によっては2年)。未経験で受講できるものではありません。(出典:東京労働局「技能講習の受講資格」) |
講習の日数は、受講者の免許や経験による免除、教習機関の日程で異なります。申し込み前に、各教習機関の案内で確認してください。(出典:労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)、労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索))
18歳未満の場合
18歳未満は、年少者労働基準規則で次のような業務が禁止されています。(出典:年少者労働基準規則 第8条(e-Gov法令検索))
- クレーンの運転と、玉掛けの業務(2人以上で行う玉掛けの補助作業を除く)
- 動力により駆動される土木建築用機械の運転
- 高さ5メートル以上で、墜落のおそれがある場所での業務
- 足場の組立て・解体・変更の業務(地上や床上での補助作業を除く)
- 深さ5メートル以上の地穴や、土砂が崩壊するおそれのある場所での業務
このほか、深夜(午後10時〜午前5時)の就業も原則できません。(労働基準法 第61条)
よくある質問
未経験でも日給1万円以上もらえる?
求人によります。この記事の労務単価は、建設技能者の賃金調査から決める公共工事の積算用の額で、アルバイトの日給の保証ではありません。応募する求人の日給、実働時間、試用期間中の扱いを、通知書で確認してください。
雨の日は休みになって給料がゼロになる?
休みになった理由で扱いが変わります。会社の責任による休業なら平均賃金の60%以上の休業手当の対象になり得ますが、不可抗力の場合は対象外です。雇用契約の有無や、その日の仕事が決まっていたかでも変わり得ます。事前に、天候で休みになったときの扱いを会社に確認しましょう。
建設バイトは現金手渡しが多い?
支払い方法は会社ごとに違います。賃金は通貨で、直接、全額を支払うのが原則で(労働基準法 第24条)、口座振込にするには労働者の同意が必要です。支払い方法と受け取り日は、契約前に確認してください。
建設の仕事で日雇いの源泉徴収はどうなる?
2か月以内の雇用期間を定めて日ごとに賃金を払う場合などは、日額表の丙欄で源泉徴収されます。2か月を超えると丙欄は使えません。確定申告が必要かどうかは、年間の所得や他の収入で決まります。
まとめ
- 建設バイトの日給は求人ごとに違う。国土交通省の労務単価は職種別・都道府県別の日額(8時間当たり)で、バイトの日給や手取りとは別のもの。
- 令和8年3月適用の全国加重平均は、軽作業員18,605円、普通作業員23,605円、とび工30,780円など。都道府県で差がある。
- 日払いは法定の制度ではなく、受け取る日は会社次第。休業手当は、休みの理由が会社の責任かどうかで決まる。
- 手取りは、所得税・雇用保険料・社会保険の有無で変わる。通知書で確認する。
- 玉掛け・足場などの資格や特別教育は、法令で要件を確認する。18歳未満は禁止業務がある。