結論から言うと、高校生でも単発バイトはできますが、18歳未満は夜10時から朝5時までは働けず、危険・有害な仕事にも就けません。そのため、大人向けの「高時給・深夜・力仕事」の求人はそのままでは使えません。この記事では、高校生が単発バイトで現実的にいくら稼げるかの考え方と、法律で決まっている年少者のルール、応募前に確認することをまとめます。
高校生はいくら稼げる?時給は最低賃金が出発点
「稼げる」といっても、高校生だけ特別に高い時給があるわけではありません。最低賃金は18歳未満にも適用され、使用者は最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」賃金Q&A)
令和8年度の地域別最低賃金は、全ての都道府県で改定額が答申されました。都道府県別の答申額は最高1,280円・最低1,085円で、発効は令和8年10月1日から12月2日の間で都道府県ごとに異なります。答申は最終決定ではなく、異議申出の手続を経て都道府県労働局長が決定します。(出典:厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」、2026年9月3日掲載)全国の加重平均額は1,177円ですが、これは各都道府県の額をならした数字で、個人に適用される額ではありません。適用されるのは、働く事業場の所在地の都道府県の最低賃金額です。現在の金額と発効日は、都道府県労働局で確認してください。
単純な計算例として、時給1,100円で1日8時間働けば8,800円です(仮の数字の計算で、交通費・控除は含みません。実際の時給と時間は求人ごとに違います)。ただし、18歳未満は法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や休日労働が原則できず、深夜(夜10時以降)にも働けません。「長時間・深夜で一気に稼ぐ」働き方は、高校生には向いていません。
18歳未満の高校生に適用される労働基準法のルール
夜10時〜朝5時は働けない(深夜業の禁止)
労働基準法第61条により、満18歳未満の人を午後10時から午前5時までの間に使用することは、原則として禁止されています。本人や保護者が同意していても、例外にはなりません。例外は、交替制で働く満16歳以上の男性など法律に定められた場合に限られ、交替制の事業では行政官庁の許可を得て午後10時30分まで認められる場合もあります。単発バイトでは夜遅くまで続くイベント撤収や夜間の倉庫作業などに注意が必要です。(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第61条)
危険有害業務・重い荷物の運搬はできない
労働基準法第62条により、満18歳未満の人には、運転中の機械の掃除・注油・修繕、動力によるクレーンの運転、厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務、毒劇物や爆発性のある材料を扱う業務、高温・高圧の場所での業務などをさせてはいけません。具体的な業務は年少者労働基準規則で定められており、年少者が就けない業務は合計45に及びます。(出典:愛知労働局「年少者の就業制限業務」)高校生の単発バイトに関係しやすいものは次のとおりです。
- 重量物:満16歳以上18歳未満の男性は、断続作業で30kg、継続作業で20kgを基準に取扱いが制限されます(満16歳未満は15kg・10kg)。引越しや資材搬入のような重い荷物を扱う仕事は、年齢や作業内容によってはできません。
- 高所:高さ5m以上の墜落のおそれがある場所での業務や、足場の組立・解体の業務。
- クレーン・玉掛け:クレーン等の運転や玉掛けの業務。
- 酒席・特殊の遊興的接客業:酒席に侍する業務や、特殊の遊興的接客業での業務。
求人票に「高校生可」とあっても、実際の作業内容が上の制限に触れていないかは、応募者側でも確認しておくと安心です。
契約は本人が結ぶ、賃金は本人が受け取る
未成年者の労働契約は、親権者や後見人が本人に代わって結ぶことはできません(労働基準法第58条)。賃金も本人に直接支払われ、親権者が代わりに受け取ることはできません。一方、民法第5条は、未成年者が契約をするには法定代理人(通常は親権者)の同意が必要と定めています。そのため、本人が契約を結ぶ前に、親権者の同意を得ておく必要があります。同意書の書式を求めるかどうかは会社ごとの運用です。また、雇う側は年齢を証明する書類を事業場に備える必要があります。(出典:愛知労働局「年少者の保護規定」)
単発バイトを探すときに知っておきたい雇用形態
労働契約が30日以内の「日雇派遣」は、2012年10月1日から原則禁止です。ただし原則禁止されたのは日雇派遣であり、直接雇用による日雇就労は禁止されていません。(出典:厚生労働省「改正に関するQ&A」)スキマバイトアプリなどの直接雇用の単発は、この規制の対象外です。
派遣で日雇いとして働けるのは、60歳以上、昼間学生、副業として一定の収入がある人、主たる生計者でない人(世帯収入500万円以上)のいずれかに当てはまる場合です。高校生は学生に該当する場合がありますが、派遣元は学生であることを確認できる書類を求めます(厚生労働省「知っておきたい改正労働者派遣法のポイント」)。夜間・定時制などの扱いは、都道府県労働局に確認してください。応募の際は「直接雇用か派遣か」を必ず確認しましょう。
高校生向けの単発バイト・向き不向きの考え方
法律で制限される内容を踏まえると、選び方は次のようになります。
- 向きやすい:夜10時までに終わるイベントの運営補助・受付・案内、軽作業(仕分け・梱包・検品など軽い物が中心)、店舗の補助業務、調査・アンケートの補助など。ただし、実際の内容と終了時刻は求人ごとに必ず確認します。
- 注意が必要:引越し・資材搬入・会場設営のような力仕事は、重量物の制限に触れないかを事前に確認します。
- できない・避ける:夜10時以降に及ぶ勤務、足場や高所作業、酒席に侍する仕事や特殊の遊興的接客業。夜の仕事は18歳未満不可です。
職種ごとの平均時給は地域・時期・求人サイトによって大きく変わるため、ここでは数値を載せていません。求人の時給が地域別最低賃金を下回っていないか、あわせて確認してください。
応募前のチェックリスト
- 「高校生可」「18歳未満可」の記載があるか:ない場合は問い合わせる。
- 終了時刻が夜10時までか:延長や撤収で10時を過ぎる可能性がないか確認する。
- 作業内容と重さ:運ぶ物の重さ、高所作業の有無を確認する。
- 学校の許可・校則:アルバイトを禁止または届出制にしている学校もある。学校ごとに違うため、生徒手帳などで確認する。
- 保護者への相談:同意書が必要な会社もある。事前に話しておく。
- 賃金の支払い方法と日:日払い・翌日払い・週払いなど、いつどう受け取れるかを確認する。受け取りは本人名義の口座が基本です。
- 労働条件の書面(メール等):時給・勤務時間・場所・支払日を、働く前に確認できる形でもらう。
- 収入の管理:親の扶養控除の対象となる子の所得には上限があります。国税庁によると、令和7年分は合計所得58万円以下(給与だけなら給与収入123万円以下)、令和8年分からは合計所得62万円以下で、給与だけなら令和8年分・令和9年分は給与収入136万円以下が目安です。年間の収入が上限に近づきそうなときは、親と相談し、国税庁の最新の案内で確認してください。(出典:国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除、国税庁 令和8年分の源泉所得税の改正)
単発バイトの「きつさ」
単発バイトは自由度が高い反面、毎回新しい現場に入るため、その都度ルールを覚える負担があります。体力を使う仕事は慣れないと翌日に疲れが残ることもあります。まずは自分の体力で無理のない軽めの仕事から始め、慣れてから別の仕事に広げる進め方が現実的です。
まとめ
- 高校生の時給は最低賃金が出発点で、適用されるのは働く事業場の所在地の最低賃金額(令和8年度は都道府県ごとに答申、発効日も異なる)。
- 18歳未満は夜10時〜朝5時の勤務が原則できず、危険有害業務・重量物の取扱いにも制限がある(労働基準法第61条・第62条)。
- 直接雇用の日雇就労は禁止されていない。派遣の日雇いは例外要件があり、昼間学生などが対象。
- 契約と賃金の受け取りは本人が行う。学校の校則と保護者への相談も忘れずに。
- 扶養控除の所得上限は年ごとに変わるため、収入が増えそうなときは最新の案内で確認する。
無理に長時間・高額を狙うより、時間帯と作業内容が法律の範囲に収まる求人を選ぶことが、安全に続けるための近道です。