警備員の新任研修(新任教育)は、一般の警備員の場合、基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上と定められています。研修が終わるまで現場に出られず給料も出ないのでは、と不安に思う方もいますが、会社の指示で受ける研修の時間は、原則として労働時間にあたり、賃金の支払い対象です。このページでは、研修の内容、日数の考え方、研修中の給料を、公的な資料をもとに整理します。
警備員の新任研修(20時間以上)とは?
警備業者は、警備員に対して教育を行う義務があります。採用直後に受ける教育が「新任教育」です。警視庁によると、一般の警備員(機械警備業務以外)の新任教育は、基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上です(警視庁「警備員に対する教育時間」)。
研修は大きく2種類
- 基本教育:警備業法などの法令、警備員の心構え、護身の基本など、すべての警備員に共通する内容
- 業務別教育:交通誘導・施設警備・雑踏警備など、担当する業務に合わせた内容
業務別教育の一部は、実地(現場に近い形での実習)で行うことが認められていますが、時間には上限があります。警視庁の資料では、業務別教育のうち実地教育にできるのは、業務別教育の時間数の2分の1、または5時間のいずれか少ない時間までです。
新任研修の主な内容
基本教育で学ぶこと
- 警備業法や関係法令の基礎
- 警備員としての心構え・服務の基本
- 護身用具の取扱い、護身の基本動作
- 事故や緊急時の対応・報告
業務別教育で学ぶこと(例)
- 交通誘導:誘導の手順、合図の方法、道路での安全確保
- 施設警備:巡回や出入管理、異常時の対応
- 雑踏警備:人の流れの誘導、事故防止
具体的な科目や教え方は会社で異なります。応募前に、担当する業務に対応した教育かを確認してください。
研修のスケジュール・日数の目安
法令が定めているのは時間数で、「何日で実施する」という決まりは、警視庁の資料からは確認できません。そのため日数は会社ごとに異なります。20時間以上という時間数を日数に置き換えると、次のようになります。
| 1日の研修時間 | 20時間に必要な日数(計算上) |
|---|---|
| 8時間 | 3日(8時間×2日+4時間) |
| 6時間 | 4日(6時間×3日+2時間) |
| 4時間 | 5日 |
※上の表は20時間を割った計算で、実際のスケジュールではありません。休日や出勤日の組み方、現場に出ながら受ける形かどうかは、採用先の会社に確認してください。なお、現任教育(働き始めた後に受ける教育)は、一般の警備員で基本教育と業務別教育を合わせて、毎年度10時間以上とされています(警視庁の同ページ。年度ごとの実施は警備業法施行規則の改正による)。
研修中の給料はどうなる?
会社の指示で受ける研修は、労働時間として扱われます。厚生労働省のガイドラインは、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講時間や、使用者の指示により業務に必要な学習を行っていた時間を、労働時間の例としています(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。警備員の新任教育は、警備業者が警備員に行う義務のある教育で、会社の業務として行うものです。研修の時間にも賃金が支払われるのが原則で、「研修は無給」という扱いは、そのまま受け入れず、応募前に確認することをおすすめします。
研修中の時給や日給の金額は、研修後の現場勤務と同じか別の額かを含め、会社ごとの契約で決まります。ただし、研修が労働時間である以上、最低賃金以上の支払いが必要です(最低賃金法)。研修期間の賃金は、求人票や雇用条件の書面で確認してください。
研修後に現場に出た場合の給与の範囲は、当社の掲載データ(2026年8月時点・294件中、給与記載のある178件の集計)で次のようになっています。
| 警備の種類 | 日給の範囲(目安) | 時給の範囲(目安) |
|---|---|---|
| 交通誘導警備 | 6,500〜20,000円 | 1,000〜2,000円 |
| 施設警備 | 9,000〜12,770円 | 1,000〜2,000円 |
| イベント・雑踏警備 | 9,000円 | 1,120〜2,100円 |
| その他警備 | 6,500〜25,340円 | 1,000〜2,000円 |
※当社掲載データの範囲で、実際の給与は勤務先・地域・経験などで異なります。
また、同データでは294件中29件に日払い、33件に週払いの記載がありました。
未経験・年齢が高くても大丈夫?
新任教育は、警備員として働き始める人が受ける教育で、前提知識は求められていません。当社の掲載データでは、294件中217件(7割超)に「未経験可」の記載があります。なお、警備員になれるのは18歳以上で、警備業法に定める欠格事由に当てはまる人はなれません。
研修後のステップ
現場経験を積んだあとに目指せる資格として、警備業法に基づく「警備員指導教育責任者」や、警備業務の「検定」(交通誘導警備業務、施設警備業務など)があります。資格手当の有無や金額は会社によって異なるため、求人票や面接で確認してください。
よくある疑問Q&A
Q. 研修は自費?会社が負担してくれる?
警備業者は警備員に教育を行う義務があります。研修費用の負担の扱いは会社ごとに異なるため、雇用契約の書面で確認してください。なお、労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額をあらかじめ決めたりすることを禁止しています(労働基準法(e-Gov法令検索))。「短期間で辞めたら研修費を支払う」といった定めがある場合は、不明な点を入社前に質問し、必要なら労働基準監督署などに相談してください。
Q. 研修中の時間は給料の対象になる?
会社の指示で受ける研修は、労働時間として賃金の対象になるのが原則で、最低賃金も適用されます。研修中の時給の金額は会社ごとの契約によるので、事前に確認してください。
Q. 研修場所はどこ?
会社の事務所、研修施設、屋外での実習など、会社によって異なります。通う場所と交通費の支給は、採用時に確認してください。
Q. 20時間以上の研修を終えたら、すぐ現場に出られる?
新任教育は、警備員として業務に就くための法定の教育です。実際にどの現場にどのように配置されるかは、会社の方針や現場によります。先輩と一緒に入るのか、すぐに一人で担当するのかは、応募前に聞いておくと安心です。
まとめ
- 一般の警備員の新任教育は、基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上です(警視庁)。
- 実施日数は法令では定められておらず、会社によって異なります。20時間は、1日8時間なら3日(8時間×2日+4時間)です。
- 会社の指示で受ける研修は、労働時間として賃金の対象になるのが原則です(厚生労働省のガイドライン)。
- 当社の掲載データでは、294件中217件(7割超)に未経験可の記載があり、日払いは29件、週払いは33件でした。
研修の日数・場所・研修中の賃金は会社ごとに異なります。応募前に、書面で条件を確認してから決めてください。